一般社団法人宇部市医師会

知っておきたい病気

2018年1月 下肢浮腫(足のむくみ)について

宇部記念病院
春木 貴史

最近夕方になると足がむくむなぁ...と思われている方、意外と多くいらっしゃるのではないでしょうか。一概に足が腫れると言っても、その原因は心臓、腎臓、足の血管、ホルモンバランスの崩れ、感染症、低栄養など実に多岐に渡ります。そのため『足のむくみは万病の元』とも言われています。

ではなぜ病気になると足が腫れるのでしょうか。毛細血管には小さな穴がたくさん開いていて、常に周りの細胞と水や酸素、栄養の交換などやり取りをしています。ここで例えば心臓のポンプ機能が落ちて血液の流れが悪くなると、足の血管に血液のうっ滞、交通渋滞が起こります。すると血管の中が血液でパンパンになり、血液中の水分が血管の外、細胞の周りに漏れ出し、これが浮腫となります。他にも腎臓のろ過機能が落ちたり、静脈瘤や静脈血栓などのため足の静脈の血流が悪くなっても起こります。また、栄養障害をきたした場合、血液中に存在するタンパク質の量が低下し、血管の中に水分を保持する力が落ちてしまい、血管外の組織間に水分が漏出してしまい、浮腫となります。下肢浮腫をきたす主な疾患としては、以下のものが挙げられます。

下肢浮腫をきたす主な疾患

下肢浮腫が起こってしまった場合の対処法ですが、寝る時に足の下に布団か枕を敷いて、足を少し挙げてみてください。寝た状態で心臓よりも5cm~10cm程度足を高くしておくだけで、翌朝の足の腫れはずいぶんと違ってきます。また、寝る時以外にも、座っている時に前に椅子を置いて、その上に足を置くなど、足を挙上する時間をなるべく増やすと効果的です。あまりやり過ぎると腰を痛めてしまうことがあるので、様子を見ながら試してみてください。他には足の先からふくらはぎに向けてマッサージをしたり、きつめの弾性ストッキングを履いたりする方法もあります。

足のむくみが気になる方は、一度お近くの病院を受診してみてはいかがでしょうか。特別な病気がなければ一安心できますし、もしかしたら思わぬ病気が早期に見つかり、その解決策、治療法を見つけ出すことができるかもしれません。