一般社団法人宇部市医師会

知っておきたい病気

2017年11月 ご存知ですか?肌の光老化

小羽山クリニック
森 竜樹

1 光老化とは?

紫外線をはじめとする太陽光線を顔や手の甲に適度に(季節・地域などにより5分~数十分程度)浴びることで、1日に必要なビタミンDが皮膚で生成されて、健康維持に役立ちます。しかし、太陽光線を長期間、無防備に浴びると肌の光老化が起こります。
肌の光老化は、年齢を重ねて生じる自然(生理的)老化とは異なるもので、子供のころから浴びた太陽光線の総量が関係してきます。浴びた量が多いほど、肌の色がくすんできたり、張りがなくなってきて、しみ、しわ、たるみとして早くから現れ、さらには皮膚がんが生じることもあります。

2 太陽光線の種類と性質

太陽光線は紫外線(UV)、可視光線、赤外線(IR)の3つに分かれます。このうち、光老化に最も大きな影響を与えているのが紫外線です。また、可視光線の一部であるブルーライトや近赤外線(NIR)も光老化に関係しています。
紫外線には、A紫外線(UVA)とB紫外線(UVB)があり、波長が長いほど皮膚の奥に入り込むという性質があります。

3 しみ発生のしくみ

皮膚の表面に位置する表皮では、B紫外線(UVB)の影響で色素細胞(メラノサイト)が紫外線を吸収する黒っぽい色素であるメラニンをつくり、周囲の表皮細胞にわたして肌を守ろうとします。ところが、過剰に日焼けするとメラニンが大量につくられ、表皮細胞内にたまってしまい、シミの原因となります。

4 しわ、たるみ発生のしくみ

表皮の下の真皮では膠原線維(コラーゲン)と弾性線維(エラスチン)が張りめぐらされているため、肌はピンと張り、弾力が保たれています。しかし、A紫外線(UVA)や近赤外線(NIR)を浴び続けると、コラーゲンやエラスチンが変性して本来の機能を失い、また皮下組織の支えも弱くなり、しわ、たるみが生じます。

5 光老化への対策

「紫外線環境保健マニュアル2015(環境省作成)」では以下のような紫外線対策を示しています。

  1. 紫外線の強い時間帯を避ける
  2. 日陰を利用する
  3. 日傘を使う、帽子をかぶる
  4. 袖や襟のついた衣服で覆う
  5. サングラスをかける
  6. 日焼け止めを上手に使う

6 サンスクリーン剤の選び方・使い方

肌の光老化を防ぐ(しみ、しわ、たるみをつくらない)ためには、日焼け止め(サンスクリーン剤)を日常的に使用することが大切です。日焼け止めには「SPF値」と「PA分類」の2つが表示されています。
SPF(サンプロテクションファクター)とは、UVBを防ぐ効果を示し、最大50+の製品があります。SPF15とは、たとえばUVBを浴びると10分で赤くなる人が10分×15=150分、つまり塗らないときに比べ15倍赤くなるのを延ばせるということです。
PA(プロテクショングレイドオブUVA)とはUVAを防ぐ効果を示し、最大PA++++の製品があります。
日焼け止めの塗り方として、たとえば顔全体に塗る場合、クリーム状ならパール粒2~3個分、ローションタイプなら1円玉2~3枚分の量を表面に均一に伸ばすようにし、すり込まないようにします。
また、常に最も効果が高いものを使う必要はなく、散歩、外出、洗濯物を干すなど短時間の場合と海水浴、山歩き、屋外スポーツなど長時間の場合で使い分けるのもよいでしょう。

ポイントは

  1. UVBとUVA両方に、できれば近赤外線(NIR)にも有効なものを選ぶ
  2. 少し厚塗りになるように塗る
  3. 汗で流れたりするので、2~3時間おきに塗りなおしをする
  4. 紫外線は曇りの日でも晴れた日の50~60%程度届いており、家の中でもA紫外線(UVA)は窓ガラスを透過するため、屋内外問わず1年を通して使用する