一般社団法人宇部市医師会

知っておきたい病気

2025年11月 白内障について

ふじつ眼科
藤津 揚一朗

 年齢を重ねるにつれて「最近、目がかすむ」「まぶしくて見づらい」と感じる方が増えてきます。こうした症状の多くは、白内障という病気が原因かもしれません。白内障は高齢者に多く見られる目の病気で、70 ~80歳の高齢者の多くに認められます。進行すると日常生活に支障をきたしてきます。今回は、白内障の基礎知識から治療法、予後などについて説明いたします。

 白内障とは? 白内障とは、目の中にある「水晶体」というレンズの役割を果たす部分が濁ってしまう病気です。水晶体は本来、透明で光を通すことでピントを合わせる機能を持っていますが、加齢や病気などの影響で濁ると、視界がぼやけたり、まぶしく感じたり、ものが二重、三重に見えたりするようになります。初期症状は「なんとなくぼやける、見えづらい」といった曖昧な症状ですが、進行してくると視力が大きく低下し、眼鏡での矯正も難しくなってきます。40~50歳台という比較的若い年齢で発症してくることもありますが、年齢とともに増えてくる病気であり、とても身近な病気です。
 白内障にはいくつかの種類があります。最も一般的なものは加齢性白内障で、年齢とともに水晶体が濁るタイプです。濁り方によって、水晶体の外側から濁る皮質白内障や中央から濁る核白内障に分けられますが、両者を併発している場合も多いです。他に、糖尿病やアトピー性皮膚炎などに併発した併発白内障やステロイド薬などの長期使用により発症する薬剤性白内障、出生時から水晶体が濁っている先天白内障、外傷が起因となる外傷性白内障などがあります。
 白内障の主な危険因子として最大の要因は加齢です。他に、糖尿病などの全身疾患や喫煙、紫外線の暴露などが挙げられますが、それらが複合的に関与しています。
 白内障の予防は、完全な予防は難しいものの、紫外線対策(帽子やUVカットの眼鏡着用)や生活習慣の改善などによって進行を遅らせることは可能です。

白内障の治療法

白内障の治療としては、初期段階では進行抑制目 的で点眼加療を行うこともありますが、濁った水晶体を元に戻すことはできません。視力低下の進行や日常生活に不自由を来してくる場合は、手術による治療となります。手術方法は「水晶体超音波乳化吸引術」と「眼内レンズ挿入術」です。濁った水晶体を超音波で砕いて吸引し、代わりに人工レンズ(眼内レンズ)を挿入します。手術は局所麻酔で15~20分ぐらいですが、 症例によっては難しい症例もあるため、30分以上かかる場合や、2回に分けた手術が必要となる場合もあり 宇部日報水晶体 (白内障) 眼球断面図 ます。安静を保てないような症例などは全身麻酔の方がいい場合もあります。また、眼内レンズには単焦点レンズと多焦点レンズがあります。単焦点レンズが一般的ですが、単焦点レンズの場合は遠方か近方どちらにピントを合わせるか、手術前にきちんと相談して決めておく必要があります。多焦点レンズは遠近両方 にピントが合うため眼鏡の使用頻度を減らすことができます。ただし、糖尿病網膜症や緑内障など眼底疾患がある場合は適応にならない場合もあり、また、コントラストの低下や夜間の光のにじみ(ハロー・グレア・スターバースト)などの副作用もあるため、医師と相談して慎重に選ぶことが大切です。また多焦点レンズは保険適用外で選定療養となるため、費用が高額となります。

手術後の予後と注意点

現在の白内障手術は安全性が高く、視力回復も良好な場合が多いです。ただ、まれに細菌感染による眼内炎や網膜剥離などの重い合併症が起こることもあるため、術後は目を清潔に保ち、決められた点眼をし 、違和感があればすぐに眼科を受診することが重 要です。他に晩期の合併症として、術後、数年して「後発白内障」と呼ばれる症状が出ることがあります。これは眼内レンズの後ろにある膜が濁るもので、また白内障の時と同じような目のかすみや視力低下を生じてきます。この場合は、外来でレーザー治療により治癒することができます。

おわりに

  白内障は誰にでも起こりうる、加齢性の病気です。 高齢化社会となり、白内障患者はどんどん増加してきています。早期発見と適切な治療によって、視力を回復 し 、快適な生活を取り戻すことができます。「最近 、目がかすむ」「まぶしくて見えづらい」と感じたら、我慢せずに眼科を受診してみてはいかがでしょうか。