一般社団法人宇部市医師会

知っておきたい病気

2021年7月 ~心臓リハビリテーションについて~

徳久内科医院
徳久 隆弘

心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)とは、心臓病(心筋梗塞・心臓手術後・心不全など)の患者さんが、体力を回復し自信を取り戻し、快適な家庭生活や社会生活に復帰するとともに、再発や再入院を防止することをめざして行う総合的プログラムのことです。心臓リハビリの内容としては運動療法に加え、生活指導・カウンセリングなどを含みます。しかし、リハビリといえば脳外科や整形外科でのイメージが強く、あまり知られていないのが現状です。そのため、心臓リハビリについて、皆さんによりわかりやすく理解して頂くために、質問&回答形式で今回紹介させていただきます。

心臓リハビリと運動療法はどう違うのでしょうか?

運動療法は心臓リハビリの構成要素のひとつであり、その他の構成要素として、栄養面、生活面、精神心理面などの教育・指導や相談・カウンセリングがあります。したがって、心臓リハビリでは、運動療法に加え、生活指導・食事指導・服薬指導などの学習指導活動や職場復帰や心配事の相談・カウンセリングなども行います。

心臓リハビリの効果はどのようなものでしょうか?

心臓リハビリの効果はこれまでの研究によって多岐にわたり証明されています。 具体的には、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)の患者さんが心臓リハビリを行うことにより、行わなかった場合に比べて、心血管病による死亡率が26%低下し、入院のリスクが18%低下します。また心不全の患者さんが心臓リハビリを行うことにより、行わない場合に比べてあらゆる入院が25%減少し、心不全による入院が39%減少することが証明されています。

さらに心臓リハビリに参加することにより、生活の質(Quality of life)が改善し、毎日をより快適に過ごすことができるようになります。その他、心臓リハビリテーションには以下のような効果があります。

心臓リハビリの対象となる病気は何でしょうか?

医療保険制度による心臓リハビリ(制度上は「心大血管疾患リハビリテーション」と呼ばれます)の対象疾患は、心筋梗塞、狭心症、心臓手術後、大血管疾患(大動脈解離、解離性大動脈瘤、大血管手術後)、 慢性心不全、末梢動脈閉塞性疾患(動脈硬化により下肢の血管が狭くなり、歩行時に痛みが出現する病気)です。これらの病気の場合、通常は心臓リハビリ開始から150日の期間、健康保険が適用されます。例外として、医師が継続の必要があると認めた場合は150日を超えて健康保険が適用される場合があります。

心臓リハビリは実際どれくらいの時間をするのでしょうか?

プログラムの実例(約1時間)

  1. 問診及び日常生活チェック:血圧・心拍数測定、心電図モニター装着
  2. 椅子座位にてストレッチ(10分)
  3. 筋力トレーニング(10分)
  4. エルゴメーターなどを使用した有酸素運動(20分)(写真参照)
  5. クールダウン

心臓リハビリの費用はどれくらいかかるのでしょうか?

医療保険が適応されますので窓口で支払う負担額が個人によって異なります。さらに、入院と外来や、心臓リハビリの施設基準によって費用は異なります。おおよそ、1回の心臓リハビリで、500〜2,000円の費用がかかります。

外来通院での心臓リハビリはどこで受けることができるのでしょうか?

心臓リハビリの実施施設として認定されている病院やクリニックで受けることができます。日本心臓リハビリテーション学会ホームページの「心臓リハビリが受けられる施設一覧」に認定施設が掲載されています。宇部・山陽小野田地区では以下の3施設となります。

まとめ

心不全、心筋梗塞、狭心症、心臓手術後などの患者さんは、心臓の働きが低下し、また安静生活を続けたことによって運動能力やからだの調節の働きも低下しています。そのため退院してからすぐには強い活動はできませんし、またどの程度活動しても大丈夫なのかが分からないために不安もあります。これらに対して心臓リハビリで適切な運動療法を行うことが役に立ち、さらに、心臓病の原因となる動脈硬化の進行を防止にもなります。心臓リハビリでは、専門知識を持った医師、理学療法士、看護師、検査技師を中心に時には薬剤師、臨床心理士、作業療法士、健康運動指導士など多くの専門医療職がかかわって、患者さん一人ひとりの状態に応じた効果的なリハビリプログラムを提案し、実施します。今後心臓手術を予定されている方や現在心臓病にて加療中の方、心臓リハビリについて担当医もしくは心臓リハビリ実施施設に相談されてみてはいかがでしょうか?
(日本心臓リハビリテーションホームページ参照一部改変)