知っておきたい病気
2025年12月 シイタケ皮膚炎
久本皮ふ科医院
久本 和夫
シイタケ皮膚炎とは、シイタケを食べた後に、全身に強いかゆみを伴う皮疹が現れる皮膚疾患です。1974年に日本で初めて報告され 、決して珍しい病気ではありませんが、欧米では非常に珍しい皮膚炎のようです。
症状の特徴
シイタケ皮膚炎の発疹は、非常に強いかゆみを伴い、かきむしった跡に沿って、赤く盛り上がった線状の皮疹が、胸、腹、背中を中心に現れるのが特徴です。まるでムチで打たれたような、あるいは熊手で引っ掻いたような跡に見えるため、「ムチ打ち様紅斑」とも呼ばれます。なお胃腸症状や発熱はありません。
発症のタイミング
生または加熱が 不十分なシイタケを食べた後、数時間から2日以内に発症します。特に夏場のバーベ キューで、ビールなどのアルコールと一緒に焼いたシイタケ(特に生焼け)を食べたときに多く見られます。煮たシイタケでは発症しにくいようです。
原因
シイタケ皮膚炎の正確な原因はまだ完全には解明されていません。しかし、加熱によって変性する生シイタケの成分が原因物質として考えられており、シイタケに含まれる多糖体のレンチナンが炎症を引き起こす可能性が指摘されています。一度発症しても、その後にシイタケを食べても必ずしも再発するわけではないため、アレルギーによるものではなく、レンチナンによる中毒症状と考えられています。乾燥シイタケの戻し汁やシイタケチップスでも発症例が報告されています。過去には 、テレビ番組で「乾燥シイタケの戻し汁を飲むと健康に良い」と紹介された後、シイタケ皮膚炎の患者さんが全国的に増えたケースもありました。
治療法
治療には、ステロイドの塗り薬と、かゆみを抑えるための抗ヒスタミン薬の内服で、2日から1週間ほどで症状は改善します。重症の場合には、ステロイドの短期内服が必要になることもあります。
予防策
予防するためには、シイタケを食べる際に十分に火を通すことが最も重要です。特にバーベキューなどでは、表面が焼けていても中が生焼けの場合があるので注意しましょう。
鑑別診断
シイタケ皮膚炎と似た線状の紅斑は、抗がん剤のブレオマイシンによる薬疹や、まれに皮膚筋炎などでも見られることがあります。これらの病気は全身症状の有無などで鑑別されます。
シイタケ皮膚炎はかゆみが強いものの、命に関わる病気ではありません。しかし、皮膚に急に広範囲の皮疹が出た場合は、重症薬疹や感染症の可能性もあるため、皮膚科を受診することが大切です。