一般社団法人宇部市医師会

知っておきたい病気

2025年9月 「思春期女性の月経について」 ~月経と上手な付き合い方をしませんか?~

江本智子ウィメンズクリニック
江本 智子

 女性は、思春期(10歳~18歳頃)に入ると、女性ホ ルモン(エストロゲン)の分泌と共に、カラダにさまざ まな変化(乳房の発達、陰毛の発生など)が起こり始 めます(二次性徴)。そして、12歳を平均年齢として 初経(最初の月経)を迎えます。これから閉経(平均 50歳)までの約40年間、月経と付き合って行くことに なります。
 思春期はとても不安定な時期です。女性ホルモン の分泌に伴い、性への関心が高まる、感情の起伏が 激しくなる、他人と比較しがちになるなど、精神面で の変化が生じやすくなります。また、今までに経験し た事のないカラダと気持ちの変化や毎月おとずれる 月経など、これが正常なのか異常なのかも分からず、 とまどう事も多いと思います。
 そこで、まずは月経について正しい知識を持つこと が大切です。正常な月経の目安は以下の3点で評価し ます。①月経周期(月経の初日から次の月経開始日ま での期間)は30日前後が通常です。②月経持続日数 (月経血を認める期間)は3~7日程度です。③月経量 (出血量)の多い少ない。月経量は、なかなか他人 と比べられないので分かりにくいと思いますが、学校 の授業間のトイレでは生理用品の交換が間に合わな い、貧血を伴う、ショーツ型の生理用品が必要な場合 は過多月経の可能性があります。
 次に、月経に伴う問題点と対処法を説明します。通 常、初経から2、3年すると不規則だった月経周期が規則正しく整います。一方で、「月経困難症」(月経に 伴う腹痛や頭痛などの不快症状)や「月経前症候群」 (排卵から月経までの間に起こる心身の不調)など の体調不良を感じる人が増えます。思春期女性の月 経困難症の多くは「機能性月経困難症」(子宮筋腫 や子宮内膜症など月経痛を起こしやすくなる病気を 伴わないもの)です。このタイプは妊娠出産の経験が 無く、子宮がまだ発育途中にある女性に起こりやすい と言われています。対処法として、月経中にカラダを冷 やさない、適度に体を動かすことも大切ですが、日常 生活に影響が及ぶ場合は、我慢せずに痛み止めを使 うことが治療の基本です。月経痛の主な原因は、子宮 内膜から産生される、プロスタグランジンという物質 が子宮の収縮を強める事が主となります。このプロス タグランジンの産生を抑えるタイプの痛み止めがより 効果的ですが、15歳以下の女性に使える痛み止め は、種類が限られます。さらに痛み止めだけでは十分 な効果が得られない場合、ホルモン剤による治療法 が推奨されます。月経困難症治療薬としてのホルモン 剤には、①低用量ピル(経口避妊薬)と同じ成分から なるEP配合剤(エストロゲン・プロゲステロン合剤) や②黄体ホルモン剤(プロゲステロン)の2剤が中心 になります。ホルモン療法は、排卵を抑え、月経血の 量を減らすことで痛みが軽くなるだけでなく、月経前 に生じる心身の不調(月経前症候群)を軽くし、子宮 内膜症という病気の予防にも繋がります。
 月経に伴う不調が無い方でも、低用量ピルを日頃か ら内服する事で、月経日を調整する事が可能です。低 用量ピルに慣れて頂くため、受験生の皆さんは夏頃か ら内服開始して頂く事をお勧めしております。(月経 調整については自費診療になります。ひと月3000円前 後が目安となります)
 宇部市医師会では、思春期女性やそのご家族に向 けての啓発活動を行っています。月経に関連するトラブルについてのセルフチェックシート(図1)を作成 し、2年前から市内の小学高学年と中学生に配布して います。家庭で自身の体調をチェックして頂き、婦人科を受診される際の目安として有効活用していただけ ると幸いです。