一般社団法人宇部市医師会

知っておきたい病気

2024年12月 帯状疱疹とワクチン

久本皮ふ科医院
久本和夫

どんな病気?

 帯状疱疹は、水疱が、皮膚に分布している神経に沿って帯状に出現する疾患です。水疱が見られる2~3日前から痒みや痛みを感じるようになり、1週間程度たつと水疱の多発や発熱、頭痛といった症状がみられることもあります。通常は2~4週間で皮膚症状がおさまります。子どもの頃に水痘(みずぼうそう)にかかると、水痘・帯状疱疹ウイルスが体の中で長期間潜伏感染し、加齢や疲労によって免疫が低下した際などに帯状疱疹として発症します。他のヒトから感染して発症するわけではありません。
 また、皮膚症状が治った後も、長い間痛みが残る帯状疱疹後神経痛になる可能性があります。原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスに対しては、成人の9割以上が抗体を持っていることから、既にほとんどの人が感染していると考えられ、誰もが帯状疱疹を発症する可能性があります。

治療と予防

 治療は、抗ヘルペスウイルス薬を中心に行われます。この薬はウイルスの増殖を抑えることにより、急性期の皮膚症状や痛みなどをやわらげ、治るまでの期間を短縮します。さらに合併症や後遺症を抑えることも期待されます。また、必要に応じて、消炎鎮痛薬が使われたり、痛みに対して神経ブロックという治療が行われることがあります。より早期の投与が効果的といわれていますので、痒みや痛みのあとに水疱が出現したときは、できるだけ早く受診しましょう。
 予防としては、できるだけ健康的な生活習慣を保つことが大切です。食事のバランスに気をつけ、適度な運動と十分な睡眠を心がけましょう。さらに、50歳以上の方については、ワクチンを接種することで、発症予防、重症化予防が期待できます。

帯状疱疹ワクチンについて

 ワクチンには、感染症の原因となる細菌やウイルスの病原性を弱くしたもの(生ワクチン)や、成分の一部から作ったもの(不活化ワクチン)があります。ワクチンを接種すると、細菌やウイルスに対しての免疫力を高め、病気の発症を抑えることができます。
 帯状疱疹の予防には、主に50歳以上の方を対象としたワクチンがあります。水ぼうそうにかかったことがある人は、すでに水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を獲得していますが、年齢とともに弱まってしまうため、改めてワクチン接種を行い、免疫を強化することで帯状疱疹を予防します。予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありませんが、たとえ発症しても症状が軽くすむという報告があります。
 日本では、帯状疱疹の予防接種として生ワクチンと不活化ワクチンの2種類のワクチンが使われています。帯状疱疹の予防接種を受けるときは、接種対象者や、接種回数、費用などの情報を確認したうえでご自身の状況に合うワクチンを選ぶことが大切です。詳しくは医師にご相談ください。
 なお、宇部市では、宇部市に住民票がある65歳以上の方で、これまで助成を受けて接種したことがない人は、1回のみ4千円の助成を受けることができます。