一般社団法人宇部市医師会

知っておきたい病気

2022年5月 夜間頻尿 ~診断、治療のためにご自身でできること~

清水泌尿器科
清水 勇樹

 泌尿器科の外来に来られる患者様の多くから聞かれる症状の1つに、夜間何度も排尿に起きる=夜間頻尿があります。夜間2回以上排尿に起きてしまう方の割合は、男性では50歳代20%、60歳代40%、70歳代62%、80歳代84%ほどと言われています。この症状はお薬の治療だけでは改善が難しく、生活習慣の改善も治療を行ううえで大切です。

【原因】

 夜間頻尿の原因には以下の3つがあります。
① 夜間多尿
夜間の尿量が多くなると、当然排尿回数は多くなります。これは夕方以降の水分の摂り方や塩分の過剰摂取、下肢のむくみ、内科的疾患(心疾患、呼吸器疾患、腎機能障害、糖尿病など)が原因となります。

② 膀胱容量の低下
膀胱に少量しか尿を溜められなくなると、排尿回数は多くなります。この症状は膀胱炎や過活動膀胱、前立腺肥大症、尿路結石など尿路の異常で生じます。

③ 睡眠障害
寝付きが悪い、眠りが浅く夜間何度も覚醒してしまうことも、夜間頻尿の原因となります。

 夜間頻尿の原因は1つとは限らず、いくつかの原因が複合的に影響し夜間の排尿回数が多くなることもあります。

【診断】

 外来では診断のために尿検査や超音波検査などを行います。尿検査で膀胱炎など尿路感染症や血尿がないか、超音波検査で前立腺肥大症や結石の有無、残尿を確認します。
患者様の症状や生活習慣からある程度原因を推測し治療、生活指導を行いますが、それだけでは治療効果が十分に得られないことがあります。そのような場合にはご自身でできる検査である「排尿日誌」が有用です。一般的に1回排尿量は200~400ml、24時間尿量は1500ml前後、夜間尿量は65歳以上の方では1日尿量の33%未満と言われています。ご自身で尿量を測定し排尿状態を知ることで、前述した原因のうちどの原因が最も影響しているかを特定することができ、またそれにより効果的な治療を行うことができます。

【治療】

 夜間頻尿の治療には前立腺肥大症や過活動膀胱、内科的疾患に対するお薬の治療と、ご自身でできる以下のような生活習慣の見直しがあり、双方を行うことで症状の改善が期待できます。

1.夜間多尿の改善のために
① 夕方以降の水分の過剰摂取や、特に就寝前3~4時間のアルコールやカフェインの摂取は控えましょう。適度な水分摂取は必要ですから、日中はこまめに水分を摂り、メリハリのある水分摂取を心がけましょう。
② 塩分の摂り過ぎは多尿の原因となるため、減塩に心がけましょう。
③ 弾性ストッキングの着用や日中に足を高くして30分程度横になるなど、下肢のむくみの対策をしましょう。また夕方にスクワットや散歩など、軽い運動をすることもむくみ対策となります。

 生活習慣を改善しても夜間多尿の改善が乏しい場合には、夜間の尿量を減少させるお薬を使うこともあります。

2.質の良い睡眠をとるために
① 起床・就寝時間や1日3度の食事など、できるだけ規則正しく過ごしましょう。
② 昼寝をされる方は15時まで、30分以内にしましょう。食後のゴロゴロ、うたた寝は夜間の睡眠の質を悪くしてしまいます。
③ 日中は日光をしっかり浴びましょう。

【まとめ】

 夜間頻尿の治療には適切なお薬の治療と、生活習慣の改善が大切です。特に膀胱容量の低下を改善するお薬の中には副作用で排尿症状が悪化するお薬もあり、残尿を測定するなど排尿状態を確認しながら調節する必要があります。夜間頻尿、またその他の排尿症状でお困りの方はお近くの泌尿器科にご相談ください。