一般社団法人宇部市医師会

知っておきたい病気

2019年4月 血液と献血について

わただ内科
綿田 敏孝

今回は、病気というより、血液に関する内容です。血液には大きく分けて赤血球、白血球、血小板といわれる成分が含まれます。そしてそれらは、骨髄と言われる、全身の骨の中心部で作られる細胞が次第に変化して形作られます。これらはひとつひとつ細胞です。現在のiPS細胞を代表とする最新の医学レベルにあって、血小板を作る研究などは進んでいますが、まだまだ一般的にはなっておりません。

突然の大出血(事故、手術など)では。血液の中での、特に赤血球の不足が最大の問題ですので、赤血球を輸血することになります。輸血にあたっては血液型を照合するのは当然のことながら、大きな反応を起こさないか確認をして輸血することとなります。それらの輸血の材料は、日本においては、献血という皆様の善意に支えられております。医療技術の進歩によって出血に対する対応などは進んでいるものの、やはり輸血は未だに様々な状況で必要な処置です。今後ますます高齢化が進むなかで特に若年層の献血数が減少傾向にあり問題となっております。若い世代を中心とした皆様に献血へのご理解とご協力が必要となります。現在も、献血車は各職場、商業施設、学校、各イベントなどに出ております。それらの機会を見つけて是非献血を試みてください。男性は17歳、女性は18歳から69歳までの健康な方なら献血は可能です。簡単な胃腸薬などは服用していても可能です。詳しくはその場でご相談ください。

一方、最初に述べた様に骨髄で血液が作られています。その骨髄の異常の一つに白血病があります。その治療法として骨髄移植と云われるものがあります。異常な骨髄を化学的処置によって空にして、正常な骨髄を移植します。ただし、移植する骨髄は、HLAと言われるタイプを合わせないといけませんので、簡単に適合するかどうかわかりません、その為に骨髄バンクといわれる組織あり、いざという時に自身の骨髄を提供する意思のある方とそのHLAのタイプを登録しておき、その方のタイプに適合する患者さんが発生したら連絡がくるというものです。こちらも詳細はネットなどでご確認ください。

山口県では、赤十字血液センターで献血をすると同時に骨髄バンクへの登録も可能です。
いずれも、皆さんの純粋な善意によって病気で困っている患者さんに手を差し伸べる、共助の手段です。今一度皆さんのご理解とご協力をお願いします。