知っておきたい病気
2024年11月 知っておきたい近視の知識―子どもたちの目を守るために
長谷川眼科琴芝クリニック
長谷川奈津江
〈近視の子供が増加しています〉国の調査において、日本における裸眼視力1.0未満の子供の割合は、約40年前と比べて増加傾向にあります。
〈近視は将来の目の病気との関連が大きいことがわかってきました〉近視は、メガネなどで矯正すれば視力がでるものとしてこれまであまり問題視されませんでした.しかし、様々なデータの蓄積から、近視が将来の目の病気のリスクを高める可能性があることが分かってきています。
近視度数と眼疾患のオッズ比
上の図は近視の程度ごとに目の病気が起こることの関連について示したオッズ比(目の病気を有する割合の高さ)です。子供たちが生涯にわたり良好な視力を維持するためには、小児期に近視の発症と進行を予防することが極めて重要です。
〈近視は遺伝要因と環境要因の両方が関係すると言われています〉近年の近視の増加は環境による影響が大きいと考えられています。近視実態調査ではどちらか一方の親が近視である場合、両方とも近視でない場合に比べ近視の新規発症との関連が大きいことが示唆されました。一方環境要因としては、屋外で過ごす時間の減少や近業(近いところを見る作業)の増加等が指摘されています。
〈近視を防ぐための生活習慣は?〉①外で過ごす時間を増やしましょう。近視予防のために一日2時間は屋外で過ごすとよいことが分っています。特に幼稚園・保育園や小学校低学年では、無理のない範囲で、外遊びを積極的に取り入れ、太陽の光を浴びるようにしましょう。②近い所を見る作業では注意しましょう!近い所を見る作業が増えると近視になりやすいことが分っています。読書やタブレット使用など近業を行う際は次のような点に気をつけましょう。対象から30cm以上目を離す。 30分に一回は、20秒以上、目を休める。背筋を伸ばし、姿勢を良くする。部屋を充分に明るくする。使用する機器の明るさを適切に調整する。これらの生活習慣が近視を防ぐ助けになります。
大人が近視について理解し、子ども達を近視のリスクから守っていきましょう。